冬
秋
春
夏
無季
今日も事なし
凩に酒量るのみ
凩に酒量るのみ
冬
野良猫が影のごと
眠りえぬ我に
眠りえぬ我に
無季
沈み行く夜の底へ底へ
時雨落つ
時雨落つ
冬
雪かぎりなし
ぬかづけば雪ふりしきる
ぬかづけば雪ふりしきる
冬
いさかへる夫婦に
夜蜘蛛さがりけり
夜蜘蛛さがりけり
無季
労れて戻る夜の角の
いつものポストよ
いつものポストよ
無季
分け入つても分け入つても
青い山
青い山
無季
鴉啼いて
わたしも一人
わたしも一人
秋
木の葉散る
歩きつめる
歩きつめる
秋
ほろほろ酔うて
木の葉ふる
木の葉ふる
秋
どうしやうもないわたしが
歩いてゐる
歩いてゐる
無季
捨てきれない荷物のおもさ
まへうしろ
まへうしろ
無季
秋風の
石を拾ふ
石を拾ふ
秋
年とれば故郷こひしい
つくつくぼふし
つくつくぼふし
秋
枝をさしのべてゐる
冬木
冬木
冬
笠も漏りだしたか
無季
松はみな枝垂れて
南無観世音
南無観世音
無季
越えてゆく山また山は
冬の山
冬の山
冬
うしろすがたの
しぐれてゆくか
しぐれてゆくか
冬
鉄鉢の中へも
霰
霰
冬
うつむいて
石ころばかり
石ころばかり
無季
父によう似た声が出てくる
旅はかなしい
旅はかなしい
無季
もう冬がきてゐる
木ぎれ竹ぎれ
木ぎれ竹ぎれ
冬
雪へ雪ふる
しづけさにをる
しづけさにをる
冬
わかれてきた道が
まつすぐ
まつすぐ
無季
あるがまま雑草として
芽を吹く
芽を吹く
春
酔へばいろいろの声が聞こえる
冬雨
冬雨
冬
ころりと寝ころべば
空
空
無季
青葉の奥へなほ小径があつて
墓
墓
夏
たれもかへる家はある
ゆふべのゆきき
ゆふべのゆきき
無季
あるけばかつこう
いそげばかつこう
いそげばかつこう
夏
木の葉ひかる
雲が秋になりきつた
雲が秋になりきつた
秋
わたしと生まれたことが
秋ふかうなるわたし
秋ふかうなるわたし
秋
うどん供へて
わたくしもいただきまする
わたくしもいただきまする
無季
うまれた家はあとかたもない
ほうたる
ほうたる
夏
春風のどこでも死ねる
からだであるく
からだであるく
春
ひとり山越えて
また山
また山
無季
死ねない手がふる
鈴をふる
鈴をふる
無季
吹きつめて行きどころがない
風
風
冬
大銀杏
歩くほかない秋の雨ふるつのる
歩くほかない秋の雨ふるつのる
秋
秋風
あるいてもあるいても
あるいてもあるいても
秋
なむあみだぶつなむあみだぶつ
みあかしまたたく
みあかしまたたく
無季
塵かと吹けば
生きてゐて飛ぶ
生きてゐて飛ぶ
春
蛙になり切つて
飛ぶ
飛ぶ
夏
おちついて死ねさうな
草萌ゆる
草萌ゆる
春
蚊帳の中に私にまで
月の明るく
月の明るく
夏
こしかたゆくすゑ
雪あかりする
雪あかりする
冬
今日も事なし凩に酒量るのみ
野良猫が影のごと眠りえぬ我に
沈み行く夜の底へ底へ時雨落つ
雪かぎりなしぬかづけば雪ふりしきる
いさかへる夫婦に夜蜘蛛さがりけり
労れて戻る夜の角のいつものポストよ
分け入つても分け入つても青い山
鴉啼いてわたしも一人
木の葉散る歩きつめる
ほろほろ酔うて木の葉ふる
どうしやうもないわたしが歩いてゐる
捨てきれない荷物のおもさまへうしろ
秋風の石を拾ふ
年とれば故郷こひしいつくつくぼふし
枝をさしのべてゐる冬木
笠も漏りだしたか
松はみな枝垂れて南無観世音
越えてゆく山また山は冬の山
うしろすがたのしぐれてゆくか
鉄鉢の中へも霰
うつむいて石ころばかり
父によう似た声が出てくる旅はかなしい
もう冬がきてゐる木ぎれ竹ぎれ
雪へ雪ふるしづけさにをる
わかれてきた道がまつすぐ
あるがまま雑草として芽を吹く
酔へばいろいろの声が聞こえる冬雨
ころりと寝ころべば空
青葉の奥へなほ小径があつて墓
たれもかへる家はあるゆふべのゆきき
あるけばかつこういそげばかつこう
木の葉ひかる雲が秋になりきつた
わたしと生まれたことが秋ふかうなるわたし
うどん供へてわたくしもいただきまする
うまれた家はあとかたもないほうたる
春風のどこでも死ねるからだであるく
ひとり山越えてまた山
死ねない手がふる鈴をふる
吹きつめて行きどころがない風
散りしくまへのしづかさで大銀杏歩くほかない秋の雨ふるつのる
秋風あるいてもあるいても
なむあみだぶつなむあみだぶつみあかしまたたく
塵かと吹けば生きてゐて飛ぶ
蛙になり切つて飛ぶ
おちついて死ねさうな草萌ゆる60にして落ちつけないこころ海をわたる
蚊帳の中に私にまで月の明るく
こしかたゆくすゑ雪あかりする

